”マイオカイン”から考える運動とは?

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 先日友人と話している中で、「もっと専門性の高い内容のブログでもいいと思うよ。」とのアドバイスもあり、ちょっと専門性を出していこうかと思っている今日このごろ。

今回は、”マイオカイン”(Myokine)について話していこうと思います。
(本によってはミオカインで記載していることもありますが、ここではマイオカインで記載します。)

マイオカインとは?


 私がマイオカインに興味を持ったのは、3年前。日本心臓リハビリテーション学会に参加した時のこと。ホルモン(体の様々な働きを調節する化学物質)については、知っていたのですが、筋肉からもホルモンが分泌される事を知りました。
 その名も”マイオカイン”。
 最初は「へ~。」と思うぐらいでしたが、講演の終了時には「こいつはすげー!」と興味を持つようになりました。
 私が興味を持った”マイオカインの凄さ”についてお伝えします。

種類


 TVでも取り上げられる程、少しずつ話題に上がってきているマイオカイン。TVでは20種類以上としか紹介されていないのですが、先程の日本心臓リハビリテーション学会で紹介されたのはなんと500種類以上あるとのこと。
 実はそれぞれの種類がどんな役割があるのかまだ全ては解明されておらず、今後も研究が続けていかれる様子。ただ、現状でわかっているマイオカインの効果については講演の中で紹介されており、その後私が調べた内容を踏まえてまとめます。

少しホルモンについて説明します。


 先程もありましたが、ざっくり説明すると<体の様々な調節をする化学物質>です。
ホルモンは体のいたる場所から分泌されますが、血流に乗って全身に運ばれ標的器官で効果を発揮します。
 ホルモンを理解していく中で抑えておいてほしい事が3つ。
それは、<分泌される場所・ホルモンの作用・分泌異常での起こる疾患>
 

 例えば、下垂体から出る成長ホルモン。

 生まれてから大人になるまで身長や体重など体の変化を生じます。骨や筋肉など成長していく過程で段々と大きくなり、大人になって成長ホルモンの分泌が止まり、体の成長も止まります。
 成長ホルモンが異常に出過ぎる事や、異常に出ない事で巨人症や小人症などと言われますが、ただ大きいや小さいだけでなく、日常生活や生命維持にも影響してきます。

 尿を作るという過程では下垂体後葉から出るバソプレシンというホルモン(抗利尿ホルモン)

が関与しています。尿は水分ですので出すぎると全身の水分量が減少してしまいます。これらを調整するのがバソプレシン(抗利尿ホルモン)になります。このホルモンが減少すると尿崩症という尿が大量にでる病気になってしまいます。
 
 他にも様々なホルモンがありますが、ホルモンのバランスが崩れる事で体調不良や気分不良を起こします。

 このように、体の中でホルモンは標的器官で効果を発揮するために私達の体の中で常に活動をしています。
(目には見えないけど、ホルモンがあるから健康を維持できるってすごいですよね!)

マイオカインの効果


 次に、筋肉から出るマイオカインの効果で現在わかっているものだけでもたくさんあるため、箇条書きで紹介します。
・脳の活性化(記憶力の向上、認知症の改善に効果があるとの論文もあり)
・肝臓の活性化
・腎臓の機能改善
・心臓機能の向上
・呼吸機能の向上
・丈夫な骨を作る
・筋肉自体の活性化
・消化器官の活性化
・膵臓機能の活性化
・リンパの流れの改善
・免疫力を高める
・脂肪を減らす などです。

効果がたくさんありすぎて、1つ1つ詳細を書くとすごい量になりそうですよね・・・。
私も最初に聞いた時衝撃的でした。
しかも、先程ホルモン異常についても軽く触れましたが、マイオカインの出過ぎで疾患が出るとの報告は様々な文献を探しても出てこないんです!!

という事は、マイオカインがたくさん出る場所がわかれば、先程のような効果が高いという事!?

 答えはYES!!

でも、それだけ効果があるなら効果的な方法なんか専門的で難しそう。

実はそうでもないんです!!

これだけの効果があるマイオカインですが、実は分泌されやすい筋肉があります!

ご興味を持たれた方は参考までに

首都大学東京大学院人間健康科学研究科 ヘルスプロモーションサイエンス学域教授
藤井宣晴 先生 運動は第2の「くすり」! 健康は筋肉でつくる
ベンテK.ペダーセンクリスチャンP.フィッシャー
運動の健康への有益な効果–ミオカインとしてのIL-6の役割

マイオカインが分泌されやすい筋肉


 それは下肢・体幹筋!!要は足や腰回りの大きい筋肉からマイオカインが分泌されやすいという事がわかっています。特にIL-6という物質が分泌されやすく、効果が非常に高いマイオカインという事がわかってきています。

という事は、足や腰回りの大きな筋肉を鍛えればマイオカインが分泌されやすく効果が高いという事!?
 
その通りです!!

ですので、足の大きな筋肉というと大腿四頭筋・内転筋群・ハムストリングス。
腰回りの大きな筋肉、大殿筋・脊柱起立筋・腸腰筋・腹筋群を鍛えればマイオカインが分泌されやすいという事になります。

なんかたくさんあって、鍛えるのが大変そう・・。

いえ、これらをいっぺんに鍛えられる運動があるんです。

マイオカインの分泌を促す運動


 それは”スクワット”です!!
スクワットは足の大きな筋肉、腰回りの大きな筋肉を同時に使用して体を鍛える事が出来ます。
 しかも、どこでも出来る運動であるという手軽さ。
そう、マイオカインは自分で分泌を促す事が出来るのです!!

また、ウォーキングやランニング、もちろんそれぞれの筋肉に対しての筋トレについても効果があります。実際のやり方に関しては、これまでのブログ記事「筋トレ」「貯筋」をご参考下さい。
またマイオカインの種類によっては、<出やすい筋肉の違い>や<効果のある臓器>なども違う事もあるとの事ですので、今後は医療やリハビリ分野でも、「認知症にはこの筋肉を鍛えてマイオカインを分泌していく。」や「腎臓が悪い人には、この筋肉を鍛えれば効果が高い。」などの研究もすでに始まっているようですので、今後の報告が楽しみですね。

冒頭でもお伝えしたように私がマイオカインに興味を持ったのは3年前。3年経った今、私が知らないだけで、実はもっと様々な事がわかっているかもしれません。

興味を持たれた医療関係・リハビリ関係の方は是非調べてみて下さい。
そして、情報共有していただければ嬉しいです。

最後に

 今回は”マイオカイン”から考える運動とは?をテーマにお伝えしました。
私が勤めていた病院でもこの事を知って、スクワットについて様々な講習会に参加し、患者さんに1日リズムに合わせてスクワットを可能な限り120回するという取り組みもしています。また終了時には筋肉がつきやすくなる栄養補給もしていました。
 1日24時間。1時間だけ運動を頑張って23時間寝たきりではもったいないです。これを見た方はこれから少しマイオカインについて意識しながら運動していき、健康的な体づくりに努めてみて下さい。
 みなさんがいつまでも健康的な生活を送れることを願っています。
 

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