「痛いの痛いのとんでいけ!」って意味がある!!

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子どものころ、親から「痛いの痛いのとんでいけ!」って患部をさすられた経験はないですか?
むしろ今では自分が子どもにしている人もいるかと思いますが、あれって実は意味があることをご存知ですか?
子どもを落ち着かせるようにする方法としか思っていない人も多いかと思いますが、あれって本当に痛みを和らげる効果があるんです。
今回は、「痛いの痛いの飛んでいけ!」を医学的な見解も含め、出来るだけわかりやすく解説していきます。

「痛み」って何?


「痛み」は「体の危険を知らせる信号」です。体に不調や外的な衝撃が加わった時に「体にとってこれは危険である」と判断される刺激が痛みです。
「体にとってこれは危険ではないな。」と判断された刺激は「冷たい」や「かゆみ」として感じられたりします。
また、中には「痛み」を感じにくくなる人がいます。それは、「高齢者」や「糖尿病を患っている人」です。それぞれ違いがあるのですが、簡単にいうと痛みを伝える神経が遅くなる(細くなる)から痛みを感じにくくなります。ですので、高齢者や糖尿病の方には「痛くない」状態の時でも、常に確認が必要になってしまいます。
痛みについて考える時に、重要なキーワードが「受容器(センサー)」「神経(伝達経路)」「脳(判断)」です。

電気をつけるイメージで


小学校の頃、理科の実験で豆電球に電池と動線を使って電気をつけた事を思い出してください。
これを「電池(受容器)」「導線(神経)」「豆電球(脳)」に置き換えるだけです。
体の中で、刺激が入った時に受容器で電気が起き、神経という動線を伝って脳に伝達されると初めて「痛み」として認識されます。
イメージはそれで良いのですが、人間の体はもっと複雑です。
体の部位ごとに受容器(電池)があり、神経(導線)も無数に張り巡らされているため、脳(電球)に伝わる神経は無数にあります。

伝達が早い神経と遅い神経

こんな経験はないですか?「料理をしていて包丁で手を切ってしまって痛かった。」「タンスの角に足の小指をぶつけて飛び上がって痛がった。」どちらも「痛い」ことには変わりないのですが、もう少し詳しく思い出すと、「包丁で手を切った時」は瞬間的に「イテっ!」ってなるのに対し、「タンスの角で小指をぶつけた時」は、「あっ、あイテ、ア~ア~!イッテーーーー!!!」っと後で響くような痛み方をします。
これは、「痛み」には2種類の神経があり、脳に「速く伝わる神経」(Aδ線維)と「遅く伝わる神経」(C線維)があるからなんです。
ここでいう「包丁で手を切った時」は「速く伝わる神経」(Aδ線維)で伝達され、「タンスの角で小指をぶつけた時」は「遅く伝わる神経」(C線維)で伝達されたと言えます。

「痛み」よりも速く脳に伝わる刺激

先程の2種類の痛みの伝わり方でもわかるように、脳に伝わる感覚には「速い」ものと「遅い」ものがあります。では、「痛み」よりも速い刺激が脳に伝わったらどうなるのでしょうか?

「痛み」よりも速く脳に伝わり刺激

それが「触覚」(Aβ線維)なのです。
人間の脳では「速く伝わった刺激が優先される」という特徴がありますから、痛みよりも触覚で速く脳に刺激を入れると「痛い」と感じにくくなるわけです。
これを「ゲートコントロールセオリー」や「門制御理論」といいます。

もっと詳しく知りたい方のご参考までに
PubMeDの記事よりゲート・コントロールセオリー Gate Control Theory

これが「痛いの痛いの飛んでいけ!」で患部をさすると痛みが和らぐメカニズムです。

大人になっても、痛みがある部位を無意識にさわってしまいますよね。あれも、「脳が痛みのコントロールの方法を知っている。」からなんです。過去の経験より少しでも痛みを和らげようとした動作を自然にとっています。

ただこれだけではありません。
「痛いの痛いの飛んでいけ!」には他にも痛みを和らげる効果があります。

それは、

「痛くなくなると思わせる」効果

例えば、詐欺師の人に「この商品は良いものですよ。」って言われても、全てを疑ってかかりますよね。では、プロのソムリエが「このワインはすごく良いものですよ。」って言ったら誰しもが信じますよね。それは、プロのソムリエという「信頼がおける人」が言う事だから間違いない。と思うからです。
子どもにとって親は「絶対的な信頼」がある存在です。
「痛いの痛いの飛んでいけ!」では子どもは「ママがそういうから痛くなくなる。」と思い込むのです。思い込みは痛みとの付き合い方で重要な意味がありますので、「こうしたから大丈夫」は子どもにとっては大事です。
逆に「痛い」→「泣く・感情があふれる」→「痛いんだと思いこむ」→「さらに大声で泣く」事になってしまえば、例えそんなに痛くなくても泣き止まないかもしれません。そこで困って親がかまってあげなかったら、更に子どもは悲しくなるでしょう。
「痛いの痛いの飛んでいけ!」は子どもを安心させる一種の愛情表現でもあるのです。

大人の世界でもある「痛み」と「思い込み」の関係

慢性的な腰痛がある方にある事ですが、「ずっと腰が痛いから病院に行こう。」と思って病院にいった結果、大した治療をされなくても「いやぁ、おかげで良くなりました。」という事があります。これも病院や医者という「信頼がおける人に診てもらった」という安心感から起こる現象です。他にも慢性腰痛の方は「腰が痛い」というものの、実は原因が「ストレス」から来ていることもあるため、「痛い」=「そこが原因」ではないことも知っておいても良いかもしれません。

最後に

今回は「痛いの痛いの飛んでいけ!」についてお伝えしましたが、意外と効果のあるおまじないなんです!ただ、痛みなら何でもこうしておけば良いということではありません。痛みの程度や場所によっては早めに病院を受診した方が良い事もあるため、しっかりと状況を見て判断していく事が大事です。冒頭でもお伝えしたように、痛みは「体の危険を知らせる信号」である事をお忘れなく。

おまけ

実はこのブログを書きながらずっと、頭頂部が痛いんです。
「頭頂部からハゲるという危険信号」なのかもしれません。(笑)

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